販促カタログを語る(3)90系セダン前期
味わい深い「販促カタログ」の世界
当ブログでは、販促カタログとは、本カタログとは別に作成されたカタログを指しています。今回は、カローラセダンを紹介します!
販促カタログを語るシリーズ(1)(2)
カローラセダンにも当然、ありました
少し前に、「カローラレビン」「カローラFX」ともに前期型の販促カタログを取り上げました。
当時、トヨタカローラ店で配布されていた内容8ページ程度の「デビュー」というタイトルの冊子です。
昭和62(1987)年5月に登場した90系カローラ。その概要を取り上げたものです。
デビュー 続々、登場。カローラのお店から。
90年代をリードするクルマ造りをうたったカローラセダンです。
トヨタとしても、このカローラにかける期待が大きかったこと、また相当な意欲作であったことが伺えるコピーです。
「スタイルと構造のターニングポイント」
スタイルについて語られています。建造物の歴史を例にとって、トヨタの意気込みを紹介しています。
「1987年、ニューカローラはセダンの流れを鮮やかに分流させた。」トヨタは、従来のデザインよりさらにスタイリッシュなセダンを、最量販車種で提案しました。
トップに誇らしげに書かれるデザイン。それまでのクルマと比較して、フラッシュサーフェイス化など、新しい取り組みを積極的に行っていたことを感じさせます。
「近未来へのターニングポイント」
トヨタがこのクルマに掛けている期待を感じることのできる文章です。
そして、90系カローラの基本設計はその後、100系、110系と続いてゆくのでまさに「90年代を見据えたクルマ」であったと思います。
このページの解説では、このクルマが、あらゆる面での見直しを行っていることを大きく取り上げています。70系まで続いたFRから、80系でFFへ。そして、90系に移行する際にさらに手を入れた個所は、非常に多かったのかなと思います。
「メカニズムのターニングポイント」
現在の高性能、低燃費エンジンに多く採用される「高効率ツインカム」。
その先駆者ともいえるトヨタのハイメカツインカムは、革新的な技術だと思います。
バルブ挟角を狭くし、出力よりも燃費やドライバビリティを追求する手法は、現在のクルマにも多用されています。
この頃の機構図、とても好きです。また自社のエンジンや足廻りに呼称を与えているのも、機械に対しての自信を感じます。
「移動区間・運転感覚のターニングポイント」
90系カローラで、もうひとつ目を惹くのは内装の豪華さです。
内装の質感の高さは、一クラス上のコロナやカリーナに迫るものであったと記憶しています。
「これからのトヨタの模範となる」とうたうコックピットは、今のようなカーナビゲーションなどの装備がなかった頃としては、恐らくかなり使い勝手の良いものであったと感じます。
この頃好まれたワイン色の色調はともかく、内装の質感は、カジュアルなムードを好む今のコンパクトクラスと比較しても、遜色がないどころか豪華さすら感じるものであると思います。
90年代をリードした、90系カローラ
上級グレードの写真ですが、サイズが4.2メートル台とコンパクトなクルマではあったものの、その質感やグレード感はなかなかなものであったと思います。
1990年に記録したカローラの販売台数は、その後政府の進めた「永久抹消登録で新車を購入すれば25万円の補助金」、スクラップインセンティブ政策の際にプリウスに破られるまで、長らくトップに君臨していました。(レビンやFXなども含む)
当時、たくさんの台数が売れ、文字通り普遍的なクルマとして消費されていったカローラですが、改めて良く出来たクルマだと感じます。
現代では、嗜好も法規も変わってしまいましたが、もはや絶滅寸前のこのカテゴリーは、やはりいいなと改めて感じさせてくれる販促カタログでした。
販促カタログや、ディーラーでの配布資料はこれからも引き続き取り上げてゆこうと思います。お楽しみに!
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